2017年4月第3週

 今週気になったのはこの件。

 ■「わが闘争」の教材使用可能=政府答弁書

 http://www.jiji.com/jc/article?k=2017041401032&g=pol

 北朝鮮関連のニュースで埋もれてしまった感はあるが、中々目を引く内容だった。

 「わが闘争」。私はこれの漫画版しか読んだことがないが、内容が非常にあれだったのは覚えている。

 何でこんなものを教材として使用可能にするのか。

 

 今回は以下の仮説を軸にして考えてみる。

我が闘争を教材として使用可能にするのは、許されることではない。」

 さて、軽く調べてみたところ、以下の記事にぶつかった。

 

■『わが闘争』という負の遺産――書物の〈読み〉をめぐる闘争

柳原伸洋 / ドイツ・ヨーロッパ現代史

http://synodos.jp/international/8444/3

 

 目を引いたのは以下の点。

『2012年にバイエルン州政府は、ミュンヘンに本部を置く現代史研究所が注釈つきの『わが闘争』を出版し学校教材を作成することに対して、資金援助を決めていた。現代史研究所とはドイツ連邦政府とそのほか7つの州によって運営されている公共機関であり、ナチス時代の歴史を研究するために、1949年に設立された機関である。』

 ここでバイエルン州政府が出てくる理由は、「わが闘争」の著作権を2016年まで保持していたためだ。著者ヒトラーが住民登録をしていたのがバイエルン州だったため、ヒトラー死後、著作権バイエルン州帰属になった。

 さて、この2012年の決定、その翌年に覆されてはいる。

『しかしバイエルン州は2013年末に突如、同研究所への援助の打ち切りと注釈付き『わが闘争』の出版停止を求めた。この方針転換に対して各方面からの非難がわきあがる。結果的には資金援助は停止されたが、すでに援助した分は返還を求めないことが決まった。』

 だが、ドイツでも最低でも1回は教科書として使おうという話があったというのは意外だった。ホロコーストの記憶が日本よりも深いドイツでこれなら、使い方によっては許されるのではないかとは思った。(まあ、政府答弁書で「武道に銃剣道は戦前回帰ではない」と言い始めているので、どんな使い方をするのか非常に不安なところではあるが→http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170414/k10010949061000.html

 

 続いて見つけたのは次の記事。

ヒトラー『わが闘争』ドイツで70年ぶり再発売、注文殺到で増刷も

http://www.huffingtonpost.jp/2016/01/20/hitler-mein-kampf-germany_us_n_9024754.html

 この記事の中で気になったのは以下の点。

『2014年、州は再び方針を変え、資金援助は行わず学術書としての出版を支援すると発表。バイエルン州のルートヴィヒ・スパエンル文化省大臣は当時、このプロジェクトはユダヤ中央評議会からも支持を受けており、「科学の自由」を促進するものだと述べた』

 学術書としての出版ならばユダヤ側からも賛意が得られているというのは、注目に値する。また、以下のような見方もあった。

『IFZのディレクター、アンドレアス・ヴィルシング氏は、 痛烈な批判を込めた注釈は研究素材として役立つだけではなく、公的に必要なものだという。ドイチェ・ヴェレのインタビューで同氏は、注釈なしでの出版を許すのは「無責任」だと語った。マインカンプを出版することで研究所が狙うのは「ヒトラーの扇動的な論説を論破し、中途半端さ、挑発的な発言、そして真っ赤な嘘を白日の下にさらす」ことだ。』

『ドイツ教職員組合のヨゼフ・クラウス理事長は、『わが闘争』は出版すべきで、学校で教えらえるべきでもあると考えるが、ドイチェ・ヴェルとのインタビューの中で彼は、言葉を選びながらも、自分の意見を変えるつもりはないと述べた。「もっと危険なのは、この事について口を閉ざしたり、出版を完全に禁止することです」と彼は言う。ヒットラーの著書から一部を引用して、これを歴史の授業で教えれば、若者の過激派思想に対する「免疫力を高める」ものになるのではないかと彼は期待する。』

 なるほど。確かに何も教えない、まっさらなままで放置するよりも、ぼこぼこに本の主張を論破することを教育の中で取り込んでいると予防の効果も生まれはするだろう。最近は日本でもハーケンクロイツを街頭で掲げながらデモをする人達がいるようだが、教育を通じてそういったことは解消されていくことは十分に期待できるだろう。

 

 ほぼ引用で記事を作ってしまったが、今回の結論をまとめる。

「私の立てた仮説は間違っている可能性がある。『わが闘争』を教材として使うのは、やり方によっては許されるかもしれない。しかし細心の注意を伴うべきである。」

 

 先週に引き続き、今週も月並みな結論になってしまった…。